最終更新日 2025年8月27日

はじめに「私には無理かも…」と思っていたIT未経験の私が、一発合格できた理由
「ITパスポートって難しそう…」
「専門用語ばかりで、自分には関係ない世界だ」
そんなふうに感じている方、多いのではないでしょうか。確かにテクノロジーの世界は、専門用語や複雑な概念があふれていて、最初は“高い壁”に見えるかもしれません。
この記事では、そんな不安を抱える方に向けて、実際に合格した人の体験談をご紹介します。
主人公は、中堅メーカーの総務部で働くアヤさん(仮名・28歳)。彼女の仕事はExcelやWord、社内システムを使うのが中心で、プログラミングもネットワークも、もちろんIT戦略の知識もゼロ。まさに「IT未経験者」の代表と言える存在です。
では、そんなアヤさんがどうして一発で合格できたのか?
それは特別な才能や知識があったからではありません。しっかりと戦略を立て、コツコツ努力を続けたからです。
この記事では、アヤさんが実際に取り組んだ学習計画、本当に役立った教材、そして勉強の途中で必ず訪れる“挫折の壁”をどう乗り越えたのかを、余すことなく紹介します。
最初に一つだけお伝えすると、完全な初心者が合格を目指すには、ある程度の学習時間は必要です。目安は 約180時間。「そんなに時間がいるの?」と驚くかもしれませんが、大丈夫。これから紹介する勉強法なら、忙しい社会人でも無理なくこの時間を積み上げて、合格までたどり着くことができます。

第1章 最初の一歩 – なぜ私がITパスポートを目指したのか(そして、あなたも目指すべき理由)
アヤさんが挑戦を決めたきっかけ
アヤさんがITパスポートの勉強を始めた理由は、とても身近なものでした。
ある日、社内会議に出席したときのこと。議題では「DX推進」「クラウド移行」「データセキュリティ強化」といった言葉が飛び交っていましたが、その半分も理解できず、思わず取り残されたような気持ちになったのです。
「ITの知識って、エンジニアだけのものじゃない。ビジネスパーソンにとって当たり前の基礎教養なんだ」
そう痛感した瞬間、彼女は学習を始める決心をしました。
エンジニアを目指すのではなく、今の職場で“より頼れる存在”になること。それがアヤさんの目標でした。

ITパスポートが持つ価値
1. すべてのビジネスパーソンに役立つ知識
ITパスポートの出題範囲はIT技術だけではありません。「ストラテジ系」では経営や企業活動を、「マネジメント系」ではプロジェクト管理や情報セキュリティを学ぶことができます。
この知識は、総務や営業、マーケティングといった職種はもちろん、公務員の仕事にも直結する内容です。
2. 意欲を示す資格
就職や転職活動においては「自発的に学び続けられる人材」であることを示す強力な証明になります。特にIT関連企業やDXを推進している企業に応募する場合は、業界への理解度と関心を示す大きなアピールポイントになります。
3. 企業からの信頼度が高い
NTTやNECといったIT大手企業だけでなく、金融・製造・建設など幅広い業界で社員の取得を奨励、あるいは義務付けている会社があります。中には昇進の条件にしている企業もあり、実社会での評価は非常に高い資格です。

「やらされている」から「自己投資」へ
「会社に言われて仕方なく受験する」という人も多いでしょう。
そんなとき、「情熱を持って取り組もう!」と言われても、正直あまり響かないものです。
でも考え方を少し変えるだけで気持ちは楽になります。
「やらされている」のではなく「会社が費用を出してくれる自己投資のチャンス」と捉えてみるのです。
- セキュリティの知識は会社の情報だけでなく、自分や家族の個人情報を守ることにも役立ちます。
- ストラテジ系の知識は、自社が進もうとしている方向を理解する手助けになります。
- そこから、自分のキャリアに新しい可能性を見つけられるかもしれません。
義務を“自己成長の機会”に変えていくこと。それがモチベーションを維持し、合格につながる大きな原動力になります。

第2章 私の3ヶ月計画 – 合否を分けた学習スケジュール
180時間という“現実的”なゴール設定
アヤさんがまず決めたのは「必要な学習時間を数字で押さえること」でした。
初心者がITパスポートに合格するには、だいたい180時間が目安。これを3ヶ月(約90日)に割り振ると、平日は2時間、週末は4〜5時間。忙しい社会人でも十分に実現できるペースです。
黄金比「インプット3:アウトプット7」
アヤさんの学習を大きく変えたのが、この“黄金比”です。
多くの初心者は参考書を最初から最後まで読むことに時間を費やしがちですが、それでは知識が頭に定着しません。
アヤさんは「まず問題を解く」ことを学習の中心に据えました。参考書は“読むもの”ではなく、“辞書として使うもの”。この考え方が合格への大きな転換点になりました。

学習の流れ
ステップ | 内容 | ポイント |
---|---|---|
最初の1週間(インプット) | 参考書をサッと一周し、試験範囲と用語の全体像を把握 | 暗記ではなく「地図を手に入れる」感覚 |
すぐにアウトプットへ移行 | 1週間で全体をざっと見たら、過去問演習に着手 | 最重要ステップ |
参考書は“辞書”として使う | 問題を解いて分からない部分だけ参考書に戻る | 読むのではなく、ピンポイント参照 |

スキマ時間の徹底活用
180時間を積み上げるには、毎日のちょっとした時間を逃さない工夫が必須です。
- 通勤電車30分:スマホの過去問アプリで演習
- 昼休み10分:単語カードで苦手な用語を復習
- 夕食の準備中15分:解説動画を視聴
こんなふうに、細切れの時間を「積み木のように積み上げていく」ことで、最終的に大きな学習時間につながります。

アヤさんの3ヶ月学習スケジュールと基本原則
期間 | 週次目標 | 日々の行動(例) | 考察 |
---|---|---|---|
1ヶ月目 | 参考書を1周通読し、分野別の過去問演習を開始する | 平日:参考書1h+過去問1h 週末:主要な1分野(例:企業活動)を集中的に学習 | 準備フェーズ:最初の通読で「知識の地図」を作る。すぐに問題演習へ移ることで“アクティブリコール”の効果を最大化 |
2ヶ月目 | 過去問3年分を解き、各分野で正答率70%を目指す | 平日:前日の間違いを30分復習+新しい過去問1.5h 週末:苦手な2分野を徹底攻略 | 記憶の定着:弱点の洗い出しと克服に集中。70%という数値は心理的マイルストーンになり、毎日の復習で忘却を防ぐ |
3ヶ月目 | 過去問5年分を終え、模試で安定して80%以上を取る | 平日:50問ミニ模試を時間を計って実施 週末:120分100問の本番形式模試を2回 | シミュレーション:知識定着から実戦力へ。制限時間を体感し、難問を後回しにする戦略を確立 |
第3章 必須ツール – 最適な参考書の選び方と「過去問道場」の活用法
パート1 参考書の選び方
参考書選びは、合格に向けた最初の重要なステップです。自分の学習スタイルに合った一冊を選ぶことが、効率的に知識を身につける近道になります。
タイプ | 書籍名 | 特徴・ポイント |
---|---|---|
イラストで理解したい人向け | 『キタミ式イラストIT塾 ITパスポート』 | 抽象的な概念をイラストで解説。文字中心の教材が苦手な人におすすめ。 |
効率的に学習したい人向け | 『いちばんやさしい ITパスポート 絶対合格の教科書+出る順問題集』 | 頻出分野に絞って解説。限られた時間で効率よく学習したい人向け。 |
基礎をしっかり固めたい人向け | 『イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生のITパスポート教室』 | 初心者向けながら内容は充実。基本情報技術者試験へのステップにもなる。 |
ITパスポートでオススメの参考書トップ10は以下の記事で紹介しているのでよかったら見てください!
必ず“最新年度版”を購入しましょう。シラバス改訂で追加された新しい用語は、高確率で試験に出題されます。

パート2 過去問道場の活用法
アヤさんが最も役立てたのは、無料学習サイト「ITパスポート試験ドットコム」の過去問道場でした。ここを有効に使うことが、合格への大きなポイントになります。
効果的な使い方
- ユーザー登録をする
学習履歴や正答率が記録されるので、自分の弱点を把握できます。 - 分野別に演習する
いきなり総合模試を解くのではなく、最初は「ネットワーク基礎」「プロジェクトマネジメント」など分野ごとに学習すると効率的です。 - 解説をしっかり読む
正解だけでなく、全ての選択肢の解説を確認しましょう。間違えた理由を理解することが、次の正解につながります。 - 模擬試験で現状を確認
全体を一通り学習したら、模試モードで現在の実力をチェック。点数よりも「どの分野が弱いか」を把握することが目的です。 - 弱点を重点的に学習する
苦手な分野が分かったら、その分野だけを繰り返し学習します。弱点克服がスコアアップの最短ルートです。

推奨教材と活用法
参考書 | 向いている人 | 特徴 | 活用のコツ |
---|---|---|---|
キタミ式イラストIT塾 | 初心者・イラストで学びたい人 | イラストで直感的に理解できる | まずこの本で全体をつかみ、その後に過去問演習をすると理解が深まる |
いちばんやさしい ITパスポート | 効率重視の人 | 出題頻度順に解説 | 苦手分野が出たら、この本の目次を活用して重点的に復習 |
過去問道場 | すべての受験者 | 過去問データベース+詳細解説 | 登録して学習履歴を管理。分野別演習+解説確認を徹底する |
スマホアプリ | 通勤・通学中の人 | ワンタップで演習できる | 通勤時間はアプリ学習にあてることで、週に5〜10時間を追加確保できる |



第4章 3つの大きな壁の乗り越え方 – 専門用語、計算問題、そしてモチベーションの低下
この章では、アヤさんが実際に直面した3つの壁と、その乗り越え方を紹介します。多くの人が同じような悩みにぶつかるので、参考になるはずです。

第1の壁 専門用語の多さに圧倒される
▼課題
勉強を始めた頃、アヤさんは「KPI」「PDCA」「DNS」「IP」といった専門用語が次々に出てきて、まるで外国語を学んでいるように感じたとのことです。
▼対策
- 視覚化する
「ルータ」「RAM」といった言葉は、Google画像検索で実物を確認。具体的なイメージと一緒に覚えることで記憶に残りやすくなりました。 - 文脈で理解する
例えば「PDCA」は定義を丸暗記するのではなく、自分の部署での業務サイクルに当てはめて理解しました。 - 繰り返し思い出す
混乱しやすい用語をまとめた単語帳を作り、毎日少しずつ復習しました。

第2の壁 計算問題への苦手意識
▼課題
文系出身のアヤさんは、計算問題を見ると「無理だ」と思ってしまい、捨ててしまおうかと考えたこともあったようです。
▼対策
- 焦らない
計算問題は試験全体の1割程度しか出ません。全問正解を目指す必要はなく、0点を避けられれば十分です。 - パターンを押さえる
出題される計算問題は、データ転送時間や損益分岐点など、限られたパターンの応用がほとんど。基礎パターンに集中して学びました。 - 集中的に練習
過去問道場で計算問題だけを数日間繰り返し解き、解き方を体に染み込ませました。
第3の壁 モチベーションの低下
▼課題
学習を始めて6週間ほど経った頃、アヤさんはスランプに陥りました。成果が見えず、やる気が落ちてしまったと言います。
▼対策
- 進捗を可視化
過去問道場の成績グラフで、少しずつでも正答率が上がっていることを確認。小さな進歩でも「確実に前に進んでいる」と実感しました。 - 目的を思い出す
「職場でより活躍したい」「キャリアを広げたい」といった勉強を始めた理由を再確認しました。 - 小さな目標を設定
「2時間勉強する」ではなく「データベースの問題を5問解く」といった達成しやすい目標を設定。小さな成功体験の積み重ねで再び前向きになれました。

初心者が陥りがちな壁と対策
壁/落とし穴 | よくある思考 | 実証済みの対策 | 心理学的根拠 |
---|---|---|---|
専門用語の多さ | 「こんなに覚えられない!」 | 画像で視覚化する/仕事と結びつける/単語帳で繰り返し復習 | 二重符号化理論:言葉と画像を組み合わせると記憶が定着しやすい |
計算問題への苦手意識 | 「数学は苦手だから捨てよう」 | 出題は1割程度と割り切る/基本パターンを優先して学ぶ/過去問で反復練習 | 認知的負荷の低減:頻出パターンに絞ることで心理的な負担が減り、学習効率が上がる |
モチベーション低下 | 「全然進歩しない…」 | 成績をグラフで確認/勉強の目的を再確認/小さな目標を設定 | 目標勾配効果:目標に近づいている感覚があるとモチベーションが高まる |
第5章 筆者との対話 – よくある質問トップ4
この章では、初心者のアヤさんの疑問に、経験者である筆者が答える形で進めます。実際に多くの人が抱える悩みを取り上げているので、自分の疑問と重ねながら読んでみてください。
Q1. 過去問の量が多すぎて、どこから始めればいいかわかりません。何年分解けば十分ですか?

目安としては直近3〜5年分です。ただし大切なのは「年数」ではなく「繰り返し」です。
- 1周目は「理解のため」
- 2周目は「定着のため」
- 3周目は「スピードを上げるため」
というように、目的を意識して取り組むと効果が出やすいですよ。
Q2. 過去問と同じ問題が出ることもあると聞きました。答えを覚えるだけでも大丈夫ですか?

それは危険です。確かに似た問題は出ますが、全く同じ問題はほとんど出ません。表現を少し変えられるだけで対応できなくなります。
重要なのは答えを暗記することではなく、その問題の「背景にある考え方」を理解することです。
そのために、正解だけでなく不正解を含めた全ての選択肢の解説を読むようにしてください。

Q3. 模擬試験で550点前後から伸びません。合格基準の600点に届かないのですが…

よくある停滞期ですね。全体的な理解はできているけれど、一部の弱点が残っているサインです。
過去問道場の成績分析を使って、正答率が低い分野を特定してください。その分野だけを1週間集中して学習しましょう。
弱点をピンポイントで補強するのが、一番効果的な突破方法です。
Q4. フルタイムで働きながら180時間も勉強するなんて、本当に可能ですか?

可能です。ただし「まとまった時間を確保しよう」と考えないことが大切です。通勤時間や昼休みなどのスキマ時間を積み重ねましょう。
例えば、平日に1時間、週末に4〜5時間を確保できれば、3〜4ヶ月で180時間に到達します。コツコツ継続すれば十分達成できますよ。

第6章 合格の先にあるもの – ITパスポートとアヤさんのキャリアの変換
合格がもたらした変化
アヤさんは、合格後すぐに仕事の中で変化を実感しました。
- 自信がついた
会議でIT関連の話題が出ても、戸惑うことなく要点を理解できるようになりました。 - 業務効率が上がった
データベースや表計算ソフトの知識が、総務としてのデータ管理をより効率的にしてくれました。さらに、セキュリティの知識を身につけたことで、情報を扱う姿勢も以前より慎重になりました。 - コミュニケーションがスムーズに
ITサポートに不具合を報告するとき、適切な用語を使って状況を説明できるようになり、解決までの時間が短縮されました。
次の目指す道
ITパスポートはゴールではなく、新しいスタートです。
- 次の試験へ
ITパスポートは情報処理技術者試験のレベル1にあたります。学習が楽しいと感じられたなら、次のレベル「基本情報技術者試験」に挑戦するのも良い選択です。 - スキルの掛け合わせ
他の資格と組み合わせることで、さらに強みが広がります。- ITパスポート × MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト): 事務や管理部門で強力な武器になります。
- ITパスポート × 簿記: IT化が進む経理・財務部門で重宝されるスキルセットです。
アヤさんは、この試験を通じて自信を得ただけでなく、将来のキャリアの選択肢も広げました。

あなたの挑戦はここから始まる
ITパスポート試験は、特別な才能がなくても戦略的に学習すれば合格できる試験です。アヤさんの物語が示すように、大切なのは賢い計画と継続する力です。
そして、合格そのものだけでなく、学習の過程があなたに大きな価値を与えてくれます。学ぶ習慣、問題解決力、現代社会を理解する基礎的な知識。これらは資格を超えて、日々の仕事や人生に役立つ財産になります。
さあ、今日から始めてみましょう。
- 参考書を注文する
- 過去問道場をブックマークする
- カレンダーに最初の学習時間を入れる
どんなに小さな一歩でも構いません。180時間の学習の旅は、その最初の一歩から始まります。