最終更新日 2025年7月27日

はじめに
CCNP資格を持つネットワークエンジニアは、年収が高めとなる傾向があります。
実際、CCNP取得者の平均年収は約703万円と報告されており、CCNA取得者に比べて50~100万円ほど高いケースもあるとされています。今回のアンケート(11人)でも平均約620万円(中央値約595万円)の結果となり、CCNP取得後に年収が上がったエピソードも複数ありました。
年齢・経験年数や担当フェーズ、他資格の有無が年収に影響しており、上流工程や高度な資格を持つほど有利である点がポイントです。
本記事ではGORITecのエンジニア仲間や、アンケートにご協力いただいたデータを使用してCCNP取得と年収の関係について考察します。

CCNP保有者は本当に年収が高いの?

はい、複数の調査でCCNP取得者は年収高水準とされています。CCNA取得者と比較して50~100万円以上高い傾向があるという調査結果も報告されており、CCNP保持者の平均年収は約703万円と推計されています。
CCNA取得者の年収調査は以下の記事で紹介しているのでよかったら見てください!

CCNP保持者11人の年収アンケート結果
まず、アンケートに回答した11人の属性と年収を整理しました。
以下の表は、それぞれの性別・年齢・年収・インフラ経験年数・勤務形態・企業規模・担当フェーズ・保有資格・CCNP取得後の年収変化をまとめたものです。
No | 性別 | 年齢 | 年収 (万円) | インフラ歴 (年) | 勤務形態 | 企業規模 | 担当フェーズ | 保有資格 | 年収アップ事例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 男性 | 29 | 520 | 5 | SES | 中小企業 | 運用 | CCNA | CCNP取得後、1年以内に600万円に昇給 |
2 | 女性 | 32 | 610 | 8 | SIer | 中堅企業 | 設計 | CCIE | CCNP取得後、プロジェクトリーダー昇格で年収増 |
3 | 男性 | 25 | 450 | 3 | SES | 中小企業 | 保守 | なし | CCNP取得後に抜擢されたが年収未変化 |
4 | 男性 | 38 | 730 | 15 | SIer | 大企業 | 要件定義 | AWS認定 | CCNPは既に給与に反映済み(取得前から給与高い) |
5 | 女性 | 45 | 780 | 20 | その他 | 中堅企業 | 構築 | PMP | 昇進に伴いCCNP取得し手当増加 |
6 | 男性 | 30 | 580 | 9 | SES | 中小企業 | 構築 | Linux技術者 | CCNP取得後、案件単価上昇で年収50万円アップ |
7 | 男性 | 27 | 480 | 4 | その他 | 大企業 | 運用 | なし | CCNP取得で特に変化なし |
8 | 女性 | 34 | 650 | 10 | SIer | 大企業 | 提案 | CCNA, JNCIA | CCNP取得でプロジェクトマネージャー職に就任し年収上昇 |
9 | 男性 | 42 | 820 | 18 | その他 | 大企業 | 設計 | CCIE, AWS | CCIE取得で年収決定、CCNP取得後は大きな変化なし |
10 | 女性 | 29 | 550 | 6 | SES | 中小企業 | 運用 | 基本情報技術者 | CCNP取得後すぐ昇給し570万に |
11 | 男性 | 36 | 670 | 12 | SIer | 中堅企業 | 構築 | なし | CCNP取得が昇格条件となり年収50万アップ |
表から、この11人の平均年収は約620万円、最高年収は820万円(42歳男性)で、最低年収は450万円(25歳男性)でした。
幅が約370万円あり、経験年数の差が影響しているようです。
中央値は約595万円でした。一般的な調査でも経験3年以上のCCNP保有者の年収は約496~701万円とされており、当社データでも同様の高い水準が見られます。

表の「インフラ歴」って何?

「インフラ歴」はネットワークエンジニアとしての実務経験年数です。一般に経験が長いほど年収は高くなる傾向にあります。表のデータでも、経験年数が長い人ほど年収が高い傾向が確認できました。

年齢・経験年数から見るCCNP保有者の年収傾向
年齢や実務経験年数と年収の相関をみると、年齢層が上がるほど年収も高くなる傾向が見られました。下表に年齢層別の平均年収・平均インフラ歴をまとめています。
年代 | 人数 | 平均年収 (万円) | 平均インフラ歴 (年) |
---|---|---|---|
20代 | 4 | 500 | 4 |
30代 | 5 | 648 | 11 |
40代 | 2 | 800 | 19 |
20代(25~29歳)は平均約500万円、30代(30~39歳)は約648万円、40代以上は約800万円と年齢層が上がるほど年収が増えています。
これは実務経験年数に比例しており、経験3年以上で年収約496~701万円という調査結果とも符合しています。
年齢・経験が年収に大きく影響するため、長く経験を積むことが年収アップにつながると言えます。

年齢が若くても年収は高めですか?

一般にネットワークエンジニアは実務経験の積み重ねで専門性が高まり、高収入になりやすいです。20代はまだ経験が浅いため年収は低い傾向ですが、30代以降で経験を積むと平均年収が大幅に上昇します(表の通り、30代で約648万円、40代で約800万円)。
働き方(SES/SIer)や企業規模による年収の違い
勤務形態や企業規模によっても年収に差が出ました。下表はSES・SIer・その他(自社内SE等)別の平均年収を示しています。
勤務形態別 平均年収
勤務形態 | 人数 | 平均年収 (万円) |
---|---|---|
SES | 4 | 525 |
SIer | 4 | 665 |
その他 | 3 | 693 |
SES契約で常駐するエンジニアは平均約525万円、SIerの社員は約665万円、企業内SE等(その他)は約693万円でした。
アンケート結果でも、SESエンジニアの年収はやや低めで、統計上もSESは約400万円、SIerは約465万円、自社SE(自社勤務)は約605万円と報告されています。

次に企業規模別です。
社員数によって年収には差があり、大企業ほど高くなる傾向があります。
アンケート結果では中小企業勤務が平均約525万円、中堅企業が687万円、大企業が670万円でした。
実際、政府統計でも大企業では50代で約730万円、中小企業では500万円弱で頭打ちになるというデータがあります。

SESとSIerでは何が違うの?

SESは客先常駐型で給与の上がり方が緩やかである一方、SIer(自社で開発・構築)や自社SEはより専門的な業務が多く、年収も比較的高くなりがちです。弊社のアンケートでもSES勤めの平均年収は低めでした。

担当フェーズ(業務内容)による年収の違い
業務内容(担当フェーズ)によっても年収に差があります。以下は担当フェーズごとの平均年収です。
担当フェーズ | 人数 | 平均年収 (万円) |
---|---|---|
保守 | 1 | 450 |
運用 | 3 | 517 |
構築 | 3 | 677 |
設計 | 2 | 715 |
要件定義 | 1 | 730 |
提案 | 1 | 650 |
上の結果から、保守・運用系(5人合計)は平均約480万円と低めですが、設計や要件定義など上流工程担当者(3人)は平均約715万円と高くなっています。
CCNP保有者はネットワーク設計者やプロジェクトマネージャー等にも挑戦できる資格であり、上流フェーズを担当することで年収が高くなる傾向があります。

設計担当は運用担当よりも年収が高いの?

はい、一般に設計や要件定義など上流工程の業務は高収入になりやすいです。CCNP保持者は設計者やPMなど上流の職種にも挑戦できます。今回のデータでも、設計/要件定義担当は運用担当より平均年収が高い結果でした。

他の資格やスキルが年収に与える影響
CCNP以外にCCIEやAWS認定、PMPなどの資格を持つと、さらに高い年収を得やすい傾向があります。以下の表では、保有資格のレベル別に人数と平均年収をまとめています。
保有資格グループ | 人数 | 平均年収 (万円) |
---|---|---|
高度資格(CCIE,AWS,PMP)あり | 4 | 735 |
基本資格(CCNA等)のみ | 2 | 585 |
資格なし | 5 | 546 |
高度な資格(CCIE/AWS認定/PMPなど)を持つグループの平均年収は約735万円と高く、基本資格のみのグループ約585万円、資格なしのグループ約546万円でした。
シスコの調査でも、CCIE保持者の年収は約645~900万円と報告されており、高度資格の有無で年収水準が大きく変わることが分かります。
また、資格手当の面でもCCNP保有はメリットがあります。
調査ではCCNP資格手当の平均支給額は12,500円、合格報奨金で44,700円とされており、企業によってはこれらの手当が年収アップに直結します。

CCIEやAWS資格があれば、年収はさらに上がりますか?

はい、高度な資格を併せ持つと年収はさらに増える可能性が高いです。CiscoのデータではCCIE保有者の平均年収がCCNPより高い645~900万円となっており、実務でもCCIEやAWS認定資格を持つ人は高単価案件に参加しやすくなります。
CCNP取得で年収アップしたエピソード紹介
続いて、CCNP取得後に年収アップが確認できた具体例を紹介します。以下の表に事例をまとめました。
事例No. | エピソード概要 | 年収増額 (万円) |
---|---|---|
1 | CCNP取得後に昇給 (520万→600万) | 約80 |
2 | プロジェクトリーダー昇格で年収増 | - |
6 | 案件単価上昇で年収50万UP (580万→630万) | 約50 |
8 | PM就任で年収上昇 | - |
11 | 昇格条件で年収50万UP (670万→720万) | 約50 |
上の事例のように、CCNP取得後に数十万円単位で年収アップした例が見られました。
50万円前後の昇給例が多く、最大では約80万円増加しています。
一部の報告によると、企業がCCNP取得者に支給する手当だけでも資格手当約1.25万円、合格報奨金約4.47万円とされています。
CCNP取得を昇格条件にしたり高単価案件に参画したりして年収が向上するケースが多いことがわかります。

CCNP取得すると年収はどのくらい上がるの?

取得後すぐに劇的に上がるわけではありませんが、当社アンケートでは50万円以上の昇給例が確認できました。たとえば資格手当だけでも年15万円以上になる企業もあり、CCNP取得で高単価案件に参加できることで実質的に年収が大幅アップする事例も多いです。

まとめ CCNP取得者の年収傾向と年収アップのポイント
以上の調査結果から、CCNP保持者は比較的高い年収であることがわかりました。
特に経験年数が長いエンジニアや、設計・要件定義など上流工程を担当する人ほど年収が高い傾向が見られます。またCCIEやAWS認定などの高度資格を併せ持つことでさらに市場価値が上がります。
CCNP取得後の年収アップを狙うには、実務経験を積みながら上流工程に関わり、高度資格取得を目指すことが効果的と言えるでしょう。
今回の11人の事例でも、CCNP取得によって年収が50~80万円増えた例がいくつかありました。
資格手当や高単価案件の獲得など、資格取得が年収向上につながる要素は多々あります。
CCNPはネットワークエンジニアのキャリアを高める一歩ですので、これらの傾向を参考にしつつ、実務経験と資格取得を両立させて年収アップを目指してください。
