最終更新日 2025年5月3日

LPICとは?概要とレベル構成を簡単に理解しよう
本セクションでは以下の内容について解説します。
LPIC認定資格とは何か?
LPIC(Linux Professional Institute Certification)は、Linux技術者向けの国際的な認定資格です。Linuxのスキルを第三者に証明するための資格として、企業やエンジニアの間で高く評価されています。
▼よくある質問(Q&A)

LPICってどのくらい有名な資格なんですか?

世界的に認知されていて、グローバル企業の採用条件に含まれることもあるよ。特にLinux業務をしているなら持っておいて損はない。
LPICはベンダーに依存せず、中立的な視点からLinux技術を評価することが特徴です。Red Hatなどのベンダー資格と比べて、汎用性があります。

LPICの各レベル(1〜3)の違いと位置づけ
LPIC資格は「LPIC-1」「LPIC-2」「LPIC-3」の3段階構成になっており、それぞれ難易度と専門性が異なります。
▼よくある質問(Q&A)

LPIC-2までは持ってるんですけど、LPIC-3ってそんなに違うんですか?

LPIC-3は設計者や上級管理者向け。技術だけじゃなく、ポリシーやセキュリティ管理の視点も問われるんだ。

LPIC 3が「最上位レベル」とされる理由
LPIC-3はLPIC認定の中で最上位に位置づけられ、エキスパートレベルの技術力を証明します。
試験では、LDAP、セキュリティ、仮想化、高可用性など企業システムに必要な高度な知識が求められます。また、試験は複数分野に分かれており、受験者は自分の専門性に合った試験を選択できます。
▼よくある質問(Q&A)

最上位ってことは、企業内の設計や運用の中心になる感じですか?

そうだね。アーキテクトやチームリーダーとしての立場が想定されるレベルだよ。

LPICレベル3の試験概要と認定要件
本セクションでは以下の内容について解説します。
LPIC 3の対象者と前提条件
LPIC 3を受験するには、LPIC-2の認定が必須です。このため、すでにLinuxの基礎〜中級レベルの知識を持っているエンジニアが対象になります。
また、企業のインフラ担当、サーバー構築・運用を行うエンジニアが多く受験しています。
▼よくある質問(Q&A)

LPIC-3って誰でも受けられるんですか?

LPIC-2の有効な認定を持っていないと、LPIC-3の試験は受けられないよ。

選択できる専門分野(試験番号300〜306)
LPIC 3は、専門分野ごとに複数の試験が用意されています。以下は主な試験の一覧です。
このように、専門性に応じて試験を選べるのがLPIC-3の特徴です。
各試験ごとの大まかな試験範囲は以下の通りです。
試験番号 | 試験名(日本語訳) | 主な試験範囲・技術要素 | 主な対象技術・ツール例 |
---|---|---|---|
300 | Mixed Environment(異種環境統合) | Samba/LDAP連携、Windowsドメイン統合、ユーザー認証 | Samba, Kerberos, LDAP, Winbind, AD連携 |
303 | Security(セキュリティ) | 暗号化、アクセス制御、セキュリティポリシー、ファイアウォール設定 | GPG, SELinux, AppArmor, iptables, OpenVPN |
304 | Virtualization and High Availability(仮想化と高可用性) | 仮想化技術、クラスタ構成、フェイルオーバー設計 | KVM, Xen, DRBD, Pacemaker, Corosync |
305 | Virtualization(仮想化) | 仮想マシン構築と運用、ハイパーバイザー管理 | KVM, QEMU, libvirt, VirtualBox |
306 | High Availability and Storage Clusters(高可用性とストレージ) | ストレージ管理、クラスタファイルシステム、リソース監視 | LVM, iSCSI, GlusterFS, DRBD, Pacemaker |
各選択科目の試験範囲は以下の記事で紹介しているのでよかったら見てみてください!
▼よくある質問(Q&A)

全部受けないといけないんですか?

1科目だけでOK。認定証には『LPIC-3 Certified in Security』のように分野が明記されるよ。

試験形式
LPIC 3は選択式(多肢選択)と記述式の問題が出題され、全てCBT(Computer Based Testing)形式です。
試験時間は90分、問題数は約60問で、具体的なコマンドや設定ファイルの内容が問われることが多いです。
項目 | 内容 |
---|---|
試験番号 | 300、303、304、305、306 |
試験時間 | 90分 |
問題数 | 約60問(選択式+記述式を含む) |
出題形式 | 多肢選択式、記述式、一部設定ファイルの読解問題など |
試験方式 | CBT(Computer-Based Testing) |
合格基準 | 500点以上(スコア範囲:200〜800点) |
合格発表 | 試験終了直後に画面でスコア表示+印刷レポート受領 |
認定条件 | 試験1科目合格で「LPIC-3(該当分野)」の称号が発行される |
受験資格 | 有効なLPIC-2認定の保持が必要 |
試験実施機関 | Pearson VUE(ピアソンVUE テストセンター) |
使用可能言語 | 日本語/英語(試験会場・科目によって異なることあり) |
▼よくある質問(Q&A)

記述問題ってコード書くんですか?

細かい設定パスとか、正しいコマンド構文を求められるよ。実務経験があるとかなり有利。

LPIC 3の難易度と合格率はどれくらい?
本セクションでは以下の内容について解説します。
LPIC 3が難しいと言われる理由
LPIC 3は実務経験レベルの知識と深い理解が求められるため、LPICシリーズの中で最も難易度が高いです。設計思想・セキュリティポリシー・LDAPなど、単なるコマンド暗記では太刀打ちできません。
実際に受験した筆者の体験では、「公式教材だけでは理解が足りず、実機での検証が不可欠だった」と感じました。
LPIC300の合格体験記は以下の記事で紹介しているのでよかったら見てみてください!
▼よくある質問(Q&A)

LPIC 3って、LPIC 2よりかなり難しいんですか?

単なる知識ではなく、企業システム全体を俯瞰して設計・運用できる力が問われるよ。また、最近試験範囲が大幅に変更になっていて、現在のLPIC3の試験範囲が網羅されている参考書がなく、その意味でも難易度がぐっと上がっているよ。
また、記述形式の設問や専門用語の正確な理解も問われ、過去問のパターン学習が通用しにくいという声もあります。

過去の合格率・受験者の声から見る実態
LPIC 3の公式合格率は非公開ですが、実際には40~50%前後という受験者の報告が多数あります。
筆者が受験した「LPIC 300(異種環境統合)」では、試験範囲の広さと深さに圧倒されたのが正直な感想です。ただ、事前に模擬試験や実機検証を積めば、突破は可能です。
▼よくある質問(Q&A)

合格率ってどれくらいなんですか?

公表はされてないけど、体感では合格率は40%以下って印象かな。中途半端な準備だと厳しいかも。
SNSや受験体験記でも、「一発合格は難しく、再受験で合格した」という声が目立ちます。学習には継続的な理解と実践が求められます。
▼ よくある質問(Q&A)

Ping-tってLPIC 300に対応していますか?

部分的には対応してるよ。ただし本番試験の範囲を全部網羅は出来ていない。新範囲の部分等は組み込まれていないから自分で公式ドキュメントを見たりして学ぶ必要があるよ。

どれくらい勉強すれば合格できますか?

実務経験があっても、120〜150時間は必要だね。仮想環境での演習込みで、3か月くらいの計画が妥当。

どれくらい勉強すれば合格できますか?

実務経験があっても、120〜150時間は必要だね。仮想環境での演習込みで、3か月くらいの計画が妥当。

LPIC 3を取得するメリットとは?
本セクションでは以下の内容について解説します。
キャリアアップや転職に有利な理由
LPIC 3は上級Linux技術者としての証明となり、キャリアアップや高難度案件への参画に直結します。特にインフラ設計やサーバーアーキテクチャの経験を積みたい人にとって有利です。
実際に筆者はLPIC 3取得後、設計・要件定義フェーズから関われる案件にアサインされるようになりました。
▼よくある質問(Q&A)

LPIC 3って本当に転職で有利なんですか?

求人で『LPICレベル3保有者歓迎』って書かれてるの、けっこう見るよ。設計職を目指すなら評価される資格だ。

年収・求人市場での評価
PIC 3保有者の平均年収は、未取得者と比べて50~100万円高い傾向にあります。特に上流工程や大規模インフラ運用を担当するポジションでは高く評価されます。
筆者が転職エージェントに相談した際にも、「LPIC 3を持っていれば年収交渉の材料になる」と言われました。
▼よくある質問(Q&A)

資格だけでそんなに年収変わるんですか?

もちろん実務経験が前提だけど、LPIC 3を持っていると高単価案件のオファーが増えるのは事実。

他のLinux資格との比較(RHCEやCompTIAなど)
LPIC 3はベンダーニュートラルな立場で評価される点で、Red HatのRHCEやCompTIA Linux+と異なります。企業や案件によって評価のされ方は異なりますが、中立性・国際性を重視するならLPIC 3が有利です。
RHCEはRed Hat系のスキルに特化し、試験も実技重視。CompTIAはより入門者向けという印象があります。
▼よくある質問(Q&A)

RHCEとLPIC 3、どっちが上なんですか?

Red Hat環境の企業ならRHCE、幅広いLinux知識を証明したいならLPIC 3。両方持っているとかなり強いね。

LPIC 3の勉強方法
本セクションでは以下の内容について解説します。
独学・教材の選び方
現在のLPIC 3試験範囲に完全対応した教材は存在しません。試験範囲が改定されたため、旧版の対策本や問題集が一部しか対応していない点に注意が必要です。
筆者は独学を選びましたが、旧試験の参考書で共通範囲を学習し、FreeIPAやKerberosなど新範囲は公式ドキュメントを自分で読み解く方式で合格を目指しました。仮想環境(VirtualBox+Ubuntu)での演習も不可欠です。
▼よくある質問(Q&A)

独学だけでLPIC 3に受かりますか?

独学は可能だけど、今の試験は新範囲の情報が市販教材に載っていないから、公式ドキュメントを自分で読み解く力が必要だよ。

模擬試験と過去問の活用法
現在のLPIC 3試験は、旧試験とは出題傾向が大きく変わっており、模擬試験・問題集も完全には対応していません。
例えば、LPIC300(混在環境)の試験を例にとると、市販の模擬問題やPing-tのLPIC 3対策コンテンツは、旧試験の範囲(Samba、LDAP)を中心に作られており、FreeIPAやKerberos連携、NFSv4など新たな出題分野は含まれていません。
そのため、過去問のような形式のものは「基礎固め」には使えますが、本番対策には「補助教材」として使うのが正解です。
▼よくある質問(Q&A)

LPIC 3って過去問出るんですか?

公式に過去問は公開されてない。Ping-tや問題集は一部しか対応してないから、新範囲は自分で深掘りする必要があるよ。
筆者は試験の3週間前から、旧試験の問題を整理しながら、FreeIPAやKerberosに関してはLPI公式やRed Hat系のドキュメントを読み込み、手元で検証して対策しました。


ゴリタン
インフラエンジニアとして、ネットワークとサーバーの運用・保守・構築・設計に幅広く携わり、
現在は大規模政府公共データの移行プロジェクトを担当。
CCNPやLPICレベル3、AWSセキュリティスペシャリストなどの資格を保有しています。