最終更新日 2025年5月5日

LPIC1とは?|Linux技術者認定試験の基礎知識
本セクションでは以下の内容について解説します。
LPICの概要と運営団体(LPI)について
LPIC(Linux Professional Institute Certification)とは、国際的なLinux技術者向け資格試験であり、LPI(Linux Professional Institute)によって運営されています。
LPIは1999年に設立された非営利団体で、世界180カ国以上で認定試験が実施されています。
LPICは「ベンダーに依存しない中立的な資格」であり、Red HatやDebian、Ubuntuなど複数のディストリビューションを横断的に学べるのが特徴です。これにより、特定ベンダーの環境に縛られず、幅広い業務に対応できるエンジニアの育成を目指しています。

LPIって聞いたことなかったんですけど、資格団体として信頼できるんですか?

世界的に有名だよ。Linux業界では認知度が高く、日本でも多くの企業が評価しているから安心していいよ。

LPIC1の位置づけと目的(LPICレベル1の意味)
LPIC1は、LPIC認定の中で最も基本的なレベルであり、「Linuxの基礎的な操作や管理ができること」を証明する資格です。
LPICシリーズは3段階(LPIC-1、LPIC-2、LPIC-3)で構成されており、LPIC1はその最初のステップです。
この資格では、Linuxシステムのインストール・設定・コマンド操作・ユーザー管理・ネットワークの基本など、実務で必要となる初歩的なスキルが問われます。

LPIC1って取得する意味あるんですか?現場じゃ資格より実務って言われますし…

確かに現場経験は大事だけど、LPIC1を持っていれば『最低限の基礎力がある』って証明になるから、未経験や若手のうちは特に有利だよ。

LPIC1とLinuxの関係性|なぜ学ぶ価値があるのか?
LPIC1は、Linuxの実務操作に直結する知識が体系的に学べる資格であり、エンジニアとしての基礎体力を養うのに最適です。
Linuxはサーバーやクラウド、IoT機器など多様な分野で利用されており、その基礎スキルは今後ますます重要となります。
とくに、シェル操作やプロセス管理、ユーザー権限の理解など、Linux特有の環境で求められる知識が体系的に問われるため、業務でLinuxを扱う予定がある人には最適な入門資格です。

でも、Linuxって難しそうだし、正直ちょっと敬遠してます…

その気持ちは分かるけど、最初は誰でもそう。でもLPIC1を学ぶことで、体系的に理解できて、使いこなせるようになるからやる価値はあるよ。

LPIC1の試験概要
LPIC1は、Linuxシステムの基本的な操作・管理スキルを認定する国際資格で、2つの試験(101・102)に合格することで認定されます。
試験はLPI(Linux Professional Institute)が主催しており、ベンダーに依存しない中立的な内容が特徴です。
本セクションでは以下の内容について解説します。
試験の基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
試験名 | LPIC-1: Linux Administrator |
試験番号 | 101試験・102試験(両方合格で認定) |
試験形式 | 四肢択一・複数選択の筆記(CBT方式) |
出題数 | 各試験 約60問 |
試験時間 | 各試験 90分 |
合格基準 | 約500〜800点満点中500点以上(変動あり) |
受験費用 | 各試験 18,000円(税込)※合計36,000円程度 |
有効期間 | 合格から5年間(再認定可能) |
試験実施 | ピアソンVUEテストセンターまたはオンライン試験 |

試験の受験方法と注意点
LPIC1の試験は全国のテストセンターまたは自宅からオンラインで受験可能です。
オンライン受験の場合、カメラ・マイク付きのPC環境が必要で、事前の動作確認が推奨されます。
また、試験は順不同で受験可能であり、101・102のどちらを先に受けても問題ありません。
ただし、両方の試験に合格して初めてLPIC1として認定されます。

101と102って、両方受からないと資格もらえないんですか?

そうだね。1つだけ受かっても認定はされないよ。2つそろって初めて“LPIC1合格者”として認められるんだ。

LPIC1の試験内容と出題範囲【最新版】
本セクションでは以下の内容について解説します。
101試験と102試験の違いとは?
LPIC1は2つの試験(101と102)に分かれており、両方に合格することで認定を取得できます。
それぞれの試験で出題される分野が異なり、以下のような違いがあります。
試験区分 | 主な出題分野 |
---|---|
101試験 | – システムアーキテクチャ – Linuxのインストールとパッケージ管理 – GNU/Unixコマンドの使用 – ファイルシステムの管理 – 基本的なハードウェア設定 |
102試験 | – シェルスクリプトとデータ管理 – ユーザーとアクセス権の管理 – ネットワークの基礎知識と設定 – セキュリティ設定(ファイアウォール・ログなど) – システム管理の基本操作 |

試験が2つあるってことは2回受けるんですか?

そう。別々に受けるけど、順番は自由だし、1つ合格していればもう片方は後からでもOKだよ。

各試験で問われる技術分野一覧(システム構成・ユーザー管理など)
LPIC1では、現場で必要となる基本的な知識が幅広く問われます。
LPIC1で問われる技術分野と活用業務一覧
分野カテゴリ | 内容・例 | 実際に役立つ業務例 |
---|---|---|
ファイルシステム管理 | ファイル階層構造、マウント、パーティション設定 | サーバー構築時のディスク設定、バックアップ設計、ストレージトラブル対応 |
システム起動と管理 | ランレベル管理(systemd/init)、サービスの起動・停止 | サービスの自動起動設定、障害時のログ確認・復旧、定期メンテナンス |
コマンドライン操作 | パイプ、リダイレクト、ファイル操作、テキスト処理 | ログ解析、バッチ処理、手動オペレーションの効率化 |
パッケージ管理 | dpkg、rpm、apt、yumなどを用いたソフトウェアインストール・更新 | 新規サーバーへのミドルウェア導入、セキュリティパッチの適用 |
ユーザー管理 | ユーザー・グループ作成、削除、パスワード設定 | アカウント管理、アクセス権の設定、異動・退職時の権限整理 |
アクセス権管理 | chmod、chown、umaskによるパーミッション設定 | セキュリティ管理、共有ディレクトリの制御、内部不正対策 |
ネットワーク基礎 | IP設定、DNS確認、ルーティング、ping/netstat | 通信障害の切り分け、ネットワーク設定の確認、DNSトラブル対応 |
シェルスクリプト | 変数、ループ、条件分岐を使った簡易スクリプト作成 | 定期処理の自動化、ログ整形、作業手順の効率化(業務の属人化防止) |
LPIC101、102試験の試験範囲は以下の記事で詳しく紹介しているのでよかったら見てみてください!

こんなにたくさん覚えないといけないんですか?自信ないな…

心配いらないよ。範囲は広いけど、深さは基本的なレベルだから、コツコツやれば十分合格できる。

最新版(2025年版)試験範囲の変更点まとめ
2025年版では、近年の技術動向を踏まえて以下のような出題範囲の見直しが行われています。
変更点の概要 | 詳細内容 |
---|---|
systemdに関する出題比重の増加 | 旧initに代わり、systemdユニットの管理、サービス起動設定、ログ確認(journalctl )などが出題強化 |
クラウド・仮想化を意識した項目の追加 | 仮想マシンの基礎、クラウド環境の理解、仮想ネットワークの構成などが新たに出題対象へ |
ネットワーク管理コマンドの現代化 | ifconfig に代わってip コマンドを中心とした出題に移行。ss やip route なども出題される傾向 |
サイバーセキュリティ関連の強化 | ファイアウォール設定(ufw , firewalld )、ログ管理(rsyslog , journal )などの出題範囲を拡大 |
これらの変更点は、現場の技術トレンドを反映しつつも、LPIC1が“入門資格”である立場を維持する範囲にとどまっています。

試験範囲って毎年変わるんですか?

大きくは変わらないけど、3~4年ごとに技術トレンドに合わせて改定されるから、最新版の公式範囲をチェックして勉強するのが大事だよ。

LPIC1の難易度と合格率|初心者でも受かる?
本セクションでは以下の内容について解説します。
試験の難しさと必要なスキルレベル
LPIC1は「IT業界初心者」でも十分に合格可能な難易度です。
ただし、基本的なPC操作やコマンドライン操作に慣れていない場合は、多少の準備が必要です。
Linuxを業務で使ったことがない場合でも、学習時間を確保すれば独学での合格も可能です。
私自身、Linux未経験からスタートしましたが、約3ヶ月の勉強で合格できました。重要なのは、範囲を網羅しようとする前に、「よく出る分野」から確実に理解することです。

Linuxって黒い画面の操作が多くて難しそう…。文系出身でも受かりますか?

大丈夫。実際に俺も文系から始めたけど、コマンド操作を繰り返し練習すれば誰でも慣れるよ。

過去の合格率データと合格までに必要な学習時間
LPIC1の合格率は公表されていませんが、一般的に「50~70%」と言われています。
合格までに必要な学習時間は、IT未経験者でおおよそ100~150時間が目安です。
週10時間の学習ペースで約2〜3ヶ月が一般的なスケジュールです。
実際に私は、平日は1時間、週末にまとめて3〜4時間勉強するペースで、約90日間かけて2科目に合格しました。
重要なのは、学習の「継続性」と「演習重視」です。

1日1時間でも合格できますか?

続ければ可能だよ。短期集中もいいけど、毎日少しずつの方が記憶に定着するし、無理がないよ。

LPIC1を目指す人に向けた向き不向き診断
LPIC1は「計画的にコツコツ学べる人」に向いています。
逆に、暗記中心の学習や、視覚的・GUI操作に慣れている人には最初戸惑いがあるかもしれません。
【向いている人】
【向いていない人】
私の知人で「Windows管理しか経験がなかった人」も、仮想環境を使ってLPIC1を通じてLinuxに慣れ、今ではクラウドエンジニアとして活躍しています。

やっぱりインフラ系に行く人じゃないと取る意味ないですか?

開発職でもLinuxサーバー触ること多いから、取っておいて損はないよ。

LPIC1の勉強法とおすすめ教材【2025年対応】
本セクションでは以下の内容について解説します。
LPIC101、102試験の合格体験記は以下の記事で紹介しているのでよかったら見てみてください!
独学とスクールどちらが良いか?
基本的には「独学」で十分合格可能です。
ただし、短期間で確実に合格したい場合や挫折しやすい人はオンラインスクールの活用も有効です。
私自身は独学派でしたが、途中で理解が曖昧になったときはYouTubeやUdemyの動画教材を活用して理解を深めました。
独学に自信がない方は、模擬試験付きの講座やオンライン学習サービスを組み合わせると効率的です。

独学でほんとに受かるんですか?スクールの方が安心そうで…

もちろんスクールは安心だけど、コストをかけたくなければ独学でも十分対応できるよ。ポイントは教材選びと継続だね。

おすすめの参考書・問題集・模試サイト
LPIC1対策においては、「定番の参考書+演習問題」の組み合わせが最も効果的です。
種別 | タイトル・名称 | 提供元 | 特長 |
---|---|---|---|
書籍 | 『Linux教科書 LPICレベル1 Version 5.0対応』 | 翔泳社 | 解説が丁寧で初心者に最適。図解が多く理解しやすい |
書籍 | 『あずき本(徹底攻略 LPIC Level1)』 | インプレス | 演習問題が豊富でアウトプット中心。試験対策に直結 |
Web教材 | Ping-t | Ping-t運営 | 無料〜有料の演習問題・模擬試験が充実。解説が詳しい |
Web教材 | LPI-Japan公式サイト | LPI-Japan | 試験範囲とサンプル問題を公開。出題傾向を把握しやすい |
私もPing-tを中心に毎日30分ずつ演習しました。本番で出た問題と非常に近かったため、安心して解答できました。

教材が多すぎてどれ選んだらいいか分からないです…

最初は『Linux教科書』とPing-tだけでOK。慣れてきたら他の演習を追加していくといいよ。

実務経験がない人のための学習ステップ
Linux未経験者は、最初に「仮想環境を使って操作に慣れる」ことが重要です。
座学だけで進めるのではなく、手を動かして覚えるスタイルが定着しやすく、理解も深まります。
【ステップ例】
- VirtualBoxなどでLinux環境(Ubuntu, CentOS)を構築
- 書籍やPing-tで学習しながら、実際にコマンドを実行
- 毎日10分でもいいので、コマンドの反復練習をする
- 試験範囲を網羅し、模試で確認
私も最初は全く触ったことがなく、ターミナルの操作すら怖かったですが、仮想環境で毎日触ることで徐々に慣れていきました。

実務経験がないと受からないですよね?

いや、むしろ資格勉強が最初の経験になるから、学びながら触るだけでも十分通用するよ。

LPIC1と他のLinux資格の違いを比較
本セクションでは以下の内容について解説します。
LinuCやCompTIA Linux+との違い
LPIC1は国際的に認知された「中立的なLinux資格」であり、LinuCは日本市場特化、CompTIA Linux+はアメリカ市場での実用性が高い資格です。
内容に大きな違いはないものの、認定団体や出題傾向、対応ディストリビューションの違いが存在します。
資格名 | 認定団体 | 特徴 | 主な対象市場 |
---|---|---|---|
LPIC1 | LPI(カナダ) | 国際標準・広範囲・中立性 | 日本・海外 |
LinuC レベル1 | LPI-Japan | 日本向け改良版・最新トピック重視 | 日本 |
Linux+ | CompTIA(米) | 米国中心・他CompTIA資格と親和性 | 北米・グローバル |
私の場合、国際的な転職も視野に入れていたためLPIC1を選びました。LinuCは日本市場で有利ですが、将来的に海外就職も考える人にはLPIC1の方が幅広く使えます。

LinuCとLPIC1って何が違うんですか?内容同じって聞いたことありますけど

もともとは同じだったけど、LinuCは日本向けに分かれたんだ。グローバルを意識するならLPIC1の方がいいよ。
就職・転職で評価されるのはどれか?
国内企業ではLinuCとLPIC1の両方が評価されますが、 「企業規模が大きい・外資系」はLPIC1を評価する傾向があります。
一方、中小企業や国内IT企業ではLinuCも十分な評価を得ています。
転職エージェントに相談したときも、「LPIC1は外資・グローバル案件に強い」「LinuCは国内SIerや中堅企業向き」とアドバイスを受けました。

就職で有利になるのはどっちですか?

どちらでも評価されるけど、視野を広く持つならLPIC1の方が活用の幅は広いよ。

海外でのLPIC1の認知度・活用シーン
LPIC1は、欧米やアジア各国でも認知されている数少ないLinux資格です。
実際、LinkedInや海外の求人サイトでも「LPIC Certified」を条件に含む求人が多く存在しています。
CompTIA Linux+よりも広く使われている国も多く、特にクラウドインフラ(AWS、Azure)と組み合わせて評価される傾向があります。
私の知人は、LPIC1を取得してからシンガポールのIT企業に転職し、現地でも「この資格は信頼できる」と評価されたとのことです。

海外で働くことも視野に入れてるんですが、LPIC1って通用するんですか?

うん。海外でも十分通用するよ。英語対応してるし、LPIの認知度も高いから。

LPIC1取得後のキャリアと年収アップへの影響
本セクションでは以下の内容について解説します。
LPIC1で得られるスキルとその活かし方
LPIC1で得られる最大のスキルは、「Linuxを基礎から理解し、操作できる実践力」です。
これにより、サーバー構築、ログ管理、ユーザー管理、パーミッション設定などの業務にすぐに役立ちます。
私自身、LPIC1を取得したことで、社内のサーバー保守案件にアサインされ、自信を持ってターミナル操作ができるようになりました。
その後、クラウド環境(AWS EC2)でもLinuxの知識が役立ち、業務の幅が一気に広がりました。

LPIC1って資格だけで終わりにならないですか?実務で役立ちますか?

めちゃくちゃ役立つよ。特にアクセス権の管理やログの見方なんかは、現場で毎日使うからね。

転職市場での評価・求人動向(2025年版)
2025年現在、Linuxスキルはクラウド・インフラ・セキュリティ分野で需要が増しており、LPIC1保有者への求人も安定しています。
とくに「サーバー運用保守」「クラウド構築支援」「セキュリティオペレーション」系の求人で評価される傾向があります。
私もLPIC1取得後、インフラエンジニア未経験ながら、Linux関連求人に応募して複数社から内定を得ました。
求人票に「LPIC1尚可」や「資格保持者優遇」と明記されることもあり、差別化に直結します。

LPIC1だけで転職できるんですか?

それだけでとは言えないけど、資格があるとスキルの裏付けになるし、未経験でもチャレンジしやすくなるよ。
上位資格(LPIC2・LPIC3)へのステップアップ
LPIC1合格後は、LPIC2→LPIC3とステップアップすることで、専門性とキャリアの幅を広げることができます。
LPIC2ではネットワーク構築や高度なシステム管理、LPIC3ではセキュリティや仮想化、クラウド連携などが学べます。
私の先輩は、LPIC3(ミックス環境・セキュリティ)まで取得し、今では大規模なシステム設計に携わっています。
上級資格を持つことで年収やポジションに直結するチャンスが増えたと話していました。

LPIC1取ったら、その後はどうすればいいですか?

LPIC2やLPIC3に挑戦してみるのがいいよ。特に将来インフラの設計やリーダーを目指すなら価値ある資格だよ。


ゴリタン
インフラエンジニアとして、ネットワークとサーバーの運用・保守・構築・設計に幅広く携わり、
現在は大規模政府公共データの移行プロジェクトを担当。
CCNPやLPICレベル3、AWSセキュリティスペシャリストなどの資格を保有しています。