インフラエンジニアが教える定例会で顧客からよく質問されること10選とその回答例!分かりやすく的確に回答・解説する方法を伝授

最終更新日 2024年12月4日

現役エンジニアが解説!
定例会で顧客からよく質問されること10選とその回答例
現役エンジニアが解説! 定例会で顧客からよく質問されること10選とその回答例
Contents
  1. 顧客との定例会で質問の回答に困ってしまうインフラエンジニアは意外と多い
  2. 定例会で顧客からよく質問されること10選
  3. 顧客からの質問に的確に回答できることの重要性

顧客との定例会で質問の回答に困ってしまうインフラエンジニアは意外と多い

インフラエンジニアとして働いていると、定例会等で顧客に進捗を報告する機会が多くあると思いますが、その際、質問に的確に回答できるかが重要になります。
なぜなら、顧客からの質問や問いに的確に回答できないと信用を失いかねないからです。

しかし、顧客からの質問に的確に回答するのはなかなか難しいものです。

定例会で顧客から質問を受けた際、顧客の意図が汲み取れていない回答をしたり、質問に対する回答がずれていたり、何が言いたいのか不明瞭な回答をして顧客が困惑したりと、上手く回答できない人が多いように思います。

X(旧Twitter)では以下のような投稿されていました。

このような投稿がされていることからも、顧客からの質問に的確に回答することに苦戦している人が多いことが分かります。

後輩エンジニアA 男性28歳
何を聞いているかがわからなかったので、とりあえず答えてしまったけど、的外れだったかもしれない…
後輩エンジニアB 女性25歳
質問に答えるのに必死で、顧客が求めている情報を伝えられたか自信がない…
後輩エンジニアC 男性23歳
自分の説明がうまく伝わらなかったみたいで、顧客の表情が困惑していた気がする…
先輩エンジニアD 男性35歳
話があちこち飛んでしまって、結局何がポイントなのかを伝えきれなかったと思う…
まわりのエンジニア仲間の声

定例会で顧客からよく質問されること10選

定例会でよく質問されること10選は以下です。

定例会で顧客からよく質問されること10選のまとめ
定例会で顧客からよく質問されること10選のまとめ

以降で顧客からよくされる質問10選について1つづつ詳しく説明していきます。

  1. 質問❶「確認の意図は何ですか?」
  2. 質問❷「この課題は今誰がボールを持っていますか?」
  3. 質問❸「我々(顧客)は何をすればいいのですか?」
  4. 質問❹「期限が●/●なのはどのような理由ですか?」
  5. 質問❺「我々(顧客)が対応する必要がある理由は何ですか?」
  6. 質問❻「●●タスクの対応期限の延長は可能か?」
  7. 質問❼「設定値を●●としているのは何か理由はありますか?」
  8. 質問❽「●●(スコープ外のことなど他チームに確認すべきこと)について教えてください。」
  9. 質問❾「このタスクと依存関係にあるタスクはありますか?」
  10. 質問❿「優先順位が一番高いものは何ですか?」

質問❶「確認の意図は何ですか?」とその回答

定例会で顧客へ何らかの確認依頼をするとよく確認の意図について聞かれます。
確認の意図が聞かれるのは、前提知識や背景情報が顧客へ伝わっていないことや単純に顧客の理解不足が原因です。

実際に私が過去に体験した事例をもとに回答方法をお伝えします。

私は過去に以下のような形で確認の意図について質問されたことがあります。
今回はこの事例を例にとりましょう。

エンジニア
エンジニア

確認依頼:
GitHubへの通信がプロキシで許可されているかご確認頂けないでしょうか。
御社の拠点Aからインターネットへ接続する際、プロキシを経由しており、かつこのプロキシでは一部の通信が禁止されている認識です。GitHubへの通信がプロキシで許可されているかご確認いただけますと幸いです。

顧客
顧客

質問:
確認の意図が分かりません。どのような意図でGitHubへの通信制御を確認したいのでしょうか。

エンジニア
エンジニア

回答:
確認の意図としては、今後予定している作業Aで作業用端末からGitHubへのアクセスが発生するためです。
今後予定している作業Aに必要なモジュールAはGitHubで提供されており、作業用端末にインストールさせるにはGitHubへのアクセスが必要になります。

仕事ができる顧客ほど作業の手戻りをなくすため
結論に至った背景・理由・目的を把握しようとする
傾向があります。

結論(質問)はGitHubへの通信がプロキシで許可されているか確認してほしいこと

背景とは、過去の出来事や前提条件、現在の状況に影響を与えている要因。
例:作業時にGitHubへの通信が必要になる。

理由とは行動や判断の根拠や説明。理由は「行動や意思決定を裏付ける根拠」に焦点を当てる。
例:プロキシの設定は我々では確認できず顧客に実施してもらう必要がある。

目的とは、「最終的にどうなりたいのか」「何を達成したいのか」目的は「未来の理想像」を描いたもの。
例:作業時にGitHubへの通信が可能か確認したい

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

質問に対しては結論から回答するようにしましょう。

なぜなら、最初に結論を述べることにより、そのあとに話すことは、結論を補足する内容であることがわかるため、聞き手は話の流れや展開を予測しながら聞くことができ、理解しやすくなるためです。


上記の質問例の場合、確認の意図を聞かれているため、まず、相手の質問の答えとなる確認の意図(作業Aでは作業用端末からGitHubへ通信する必要があるため)を回答しています。

その後、補足情報として理由(作業用端末からGitHubへアクセスする必要がある理由)を回答しています。

この時、最初に結論を先に回答しているため、その後の話で、GitHubへのアクセスに関する情報が補足されるんだなと分かるため、話の展開を予想して聞くことができます。

このように結論から回答することで、そのあとの話の流れが予測しやすくなり、結果、聞き手の理解の助けとなります。

逆に結論から回答できないと顧客セッションがうまくできない人と思われています可能性があるので、質問に対して回答するときは出来る限り結論から回答するようにしましょう。

結論を最初に話すとその後の話の展開が予測できる
結論を最初に話すとその後の話の展開が予測できる

質問❷「この課題は今誰がボールを持っていますか?」とその回答

何かの課題や、顧客と共同で進める必要があるタスクなど、誰が何を進めているのかわからない状況になっている場合、「今誰がボールを持っているのですか?」と確認されることがあります。

過去に通信障害が発生し、調査状況を定例会で報告した際、以下のような形で「今誰がボールを持っているのですか?」と確認されたことがあります。

エンジニア
エンジニア

調査状況の報告:
先日の通信障害について、A社とB社に問い合わせを実施しました。
A社には今回の通信障害の原因である動作は正しい挙動なのかどうか、B社には今回の障害でサーバ構築の作業に影響があるかどうかを確認致しました。
先週回答を受領し、A社からは、障害の原因である動作は仕様によるもの、B社からはサーバの構築作業には影響はないと回答がありました。
以上が状況報告となります。

顧客
顧客

質問:
承知いたしました。現在は誰がボールを持っているのでしょうか。先週回答を受領したとのことですが、現在誰が何を対応されているのでしょうか。

エンジニア
エンジニア

回答:
現在障害の原因と対策について弊社で資料にまとめております。
障害の原因と今後の対策について資料を用いて報告させていただき、その報告をもって本課題は完了とさせてください。

誰が何を対応中なのか明確にしないと対応が進まない
誰が何を対応中なのか明確にしないと対応が進まない

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

上記の例の質問(誰がボールを持っているのか?)に対して回答する際は、下記の3点を意識しましょう。

①現在誰が何を対応しているか明確に答える
②何をもって課題が完了になるか回答する
③顧客に何か依頼する予定がある場合はその内容も伝える

この質問は、課題(今回で言うと通信障害の対応)の進捗が見えずらい、完了するまでにどのようなタスクがあるか把握できていない、顧客側で何かする必要があるのかわからない、等の場合に顧客から質問されます。

そのため、回答するときは上記の3点を伝えましょう。回答の時は結論から話し、相手の質問に対して回答する形で回答しましょう。

誰ボール?への回答の順番
「この課題は今誰がボールを持っていますか?」と聞かれたら
①⇒②⇒③の順番に回答しましょう。

質問❸「我々(顧客)は何をすればいいのですか?」とその回答

ネットワーク、サーバーの構築プロジェクトなど顧客に何か調整してもらうタスクが発生するプロジェクトの場合、顧客との定例会で「我々(顧客)は何をすればいいのですか?」とよく聞かれます。

例えば、実際に質問された内容を紹介すると以下のような感じです。

エンジニア
エンジニア

DCの更改に関する説明:
今回のデータセンター更改について資料をもとに説明いたします。今回の更改により、ネットワークの経路が⚫︎⚫︎のように変更になります。また、更改後、インターネットに抜ける通信はプロキシAを経由することになります。他には・・・・。今回の説明は以上となります。

顧客
顧客

質問:
説明いただきありがとうございました。今回のデータセンター更改による変更については理解しましたが、我々は何か対応が必要なことはあるのでしょうか?

エンジニア
エンジニア

回答:
業務用端末のプロキシの設定変更をご対応いただく必要がございます。プロキシの設定変更スクリプトや社員様に変更方法を周知して変更頂く等の方法でご調整お願い致します。

顧客が説明を聞くときに意識していること
顧客は説明を聞くとき、自分たちは何か対応が必要なことはあるのか
を気にしながら話を聞いています。
顧客が説明を聞くときに意識していること

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

この質問にわかりやすく的確に回答するポイントは具体的に回答することです。

なぜなら何を対応する必要があるか具体的に回答しないと顧客が行動に移せないためです。

例えば、上記の例だと「プロキシの設定変更をしていただく必要があります。」とだけ回答しても、何をすればピンときません。
そのため、どのように設定変更を実施するか具体例を補足する必要があります。

このように、顧客から、「我々は何をすればいいのですか?」と聞かれ、何か対応いただく必要がある場合は、どのように対応すればいいのか具体的に回答しましょう。

依頼内容を具体的に伝えないと顧客が行動に移せない
⇒プロジェクトが進まない
NG例: 業務用端末のプロキシの設定を変更してください。依頼内容がざっくり過ぎて
顧客が対応できない。
OK: セグメントAの業務用端末のプロキシ設定を「X.X.X.X」に変更してください。
変更方法としては、社員の皆様に手動で
設定していただくか、あらかじめスクリプトを作成して配布する方法があります。
具体的に依頼内容を説明しているため
次のアクションが明確にわかる
顧客への対応依頼の良い例と悪い例

質問❹「期限が●/●なのはどのような理由ですか?」とその回答

顧客に対応依頼をする際、期限を指定して依頼することが多いですが、その際、顧客側で期限内の対応が難しい、またはもう少し期限を延長して欲しいとなった場合、提示した期限となっている理由が聞かれます。

顧客がその理由を確認し、無理をしてでも期限内に対応しないといけないのか、そうではなく期限の延長が可能そうなのか判断するためです。

過去に私は業務用端末に割り当てるIPアドレスの払い出しを依頼した際、提示した期限の理由を聞かれたことがありました。

エンジニア
エンジニア

DCの更改に関する説明:
新しい拠点のネットワークを構築するにあたり、新拠点の業用端末に割り当てるIPアドレスのセグメントの情報を⚫︎/⚫︎期限で提供いただけますでしょうか。

顧客
顧客

質問:
承知いたしました。期限が⚫︎/⚫︎とのことですが、期限を⚫︎/⚫︎に設定している理由は何かありますか?

エンジニア
エンジニア

回答:
⚫︎/⚫︎期限としているのは、割り当ていただきましたセグメントの情報を⚫︎/⚫︎までにネットワーク提供キャリアへ提供する必要があるためです。
新拠点のネットワークを⚫︎/⚫︎までに使用可能とするには⚫︎/⚫︎までにセグメントの情報の提供が必須となります。新拠点のネットワーク使用開始日を後ろに倒しても問題ないのであれば、セグメントの払い出し期限も後ろ倒し可能です。

依頼された期限通りの対応が難しい場合、他のタスクを捨ててもやった方がいいのか
理由(影響度合い)をもとに期限を伸ばせるのか判断したい。
期限の理由が聞かれる背景

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

提示した期限の理由を聞かれた際は、その日を期限とした理由と背景を回答しましょう。

今回の例で言うと、セグメントの情報をネットワークキャリアへ⚫︎/⚫︎までに提供する必要があることが理由にあたり、新拠点のネットワーク使用開始日に間に合わせる必要があると言う部分が背景になります。

顧客の確認の意図は期限を変更できないか判断したいことなので、理由だけでは情報不足になります。しっかり理由と背景まで回答しましょう。

期限の理由を問われた時はその期限とした背景と理由を答えましょう。
結論(期限⚫︎/⚫︎)
⚫︎/⚫︎までにIPアドレスのセグメントの情報を提供して欲しい。
背景
過去の出来事や前提条件、現在の状況に影響を与えている要因。
例:セグメントの情報を⚫︎/⚫︎までにネットワーク提供キャリアへ提供する必要がある。新拠点のネットワークを⚫︎/⚫︎までに使用可能とするには⚫︎/⚫︎までにセグメントの情報の提供が必須。
理由
行動や判断の根拠や説明。理由は「行動や意思決定を裏付ける根拠」に焦点を当てる。
期限の理由を問われた時は背景と理由を答えましょう

質問❺「我々(顧客)が対応する必要がある理由は何ですか?」とその回答

エンジニア
エンジニア

サポートへの問い合わせ依頼:
今回御社のMicrosoft365 環境で起きた事象について、御社にて契約しているサポート窓口にご確認いただくことは可能でしょうか。

顧客
顧客

質問:
サポートへの確認に関しては御社でも対応可能だと思いますが、我々が対応しなければならない理由などありますか?

エンジニア
エンジニア

回答:
弊社が契約しているサポート窓口では、スクリーンショット等、提供できる情報が限られしまうため、御社にお願いしたいと考えておりました。
事象に関するスクリーンショットなどの資料は、サポート契約の関係上、御社のサポート窓口にのみ提供可能であると認識しております。
そのため、今回の件については、御社が契約されているサポート窓口にてご確認いただきたく存じます。

依頼する側でも対応できそうなことを顧客に対応依頼した時の顧客の気持ちは、
「我々に仕事を押し付けてる?」もしくは「依頼側で出来ないなら我々も出来ないのでは?」
「依頼側でも出来ないことをやるとなると注意しなきゃいけないことありそうだな」と考えます。
その結果、理由を確認するに至ります?
顧客が対応依頼された時に考えること

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

この質問への回答のポイントは、まず結論を簡潔に述べ、その後に結論に至った背景を説明することです。その際、顧客に依頼が必要な理由を明確に伝えましょう。

特に忙しい顧客に依頼をする場合、理由が不十分だと断られる可能性があります。依頼の妥当性を納得してもらうために、顧客が対応すべき根拠を具体的に示すことが重要です。

また、こちらの作業を顧客に押し付けているような印象を与えないよう注意しましょう。そのためには、「顧客でなければ対応できない理由」をあらかじめ整理しておくことをおすすめします。

顧客が対応しなければいけない理由を聞かれた時
質問は簡潔に回答し、その後に結論を下す要因となった背景を話しましょう。
結論(質問への簡潔な答え)
自分たちではなく、顧客でないと出来ないと判断した理由を回答しましょう。
背景
過去の出来事や前提条件、結論を下すのに影響を与えている要因。
顧客が対応しなければいけない理由を聞かれた時の対処法

質問❻「●●タスクの対応期限の延長は可能か?」とその回答

顧客に何かタスクを依頼していると、対応期限の延長を相談されることがよくあります。

過去に私は以下のような形で期限の延長を相談されました。

顧客
顧客

質問:
⚫︎⚫︎のヒアリングシートの回答期限を延長していただくことは可能でしょうか。現段階では回答が難しい状況です。

エンジニア
エンジニア

回答:
ヒアリングシートの設定値に不備がないことを前提とした回答となりますが、その場合、⚫︎/⚫︎までにご対応いただければ問題ありません。ただし、もし回答内容に不備や不足がある場合は、別途調整が必要になる可能性がありますので、その点をご了承いただければと思います。

期限延長時に考慮しないといけないポイント
期限の延長を相談されたら、「依存関係にあるタスク」「後続タスクの作業時間」を最低限考慮しましょう。
その場での判断が難しい場合は、持ち帰りましょう。
依存関係にあるタスク
依頼したタスク(※)の納期延長を相談された時は、そのタスクと依存関係にあるタスクを洗い出し、タスク(※)期限が遅れても問題ないか、遅れた分をどこかで吸収できるか確認しましょう。
後続タスクの作業時間
顧客に依頼したタスク(※)の納期を延長する場合は、そのタスクが完了するのを待っている他の作業にどのような影響が出るかを考慮する必要があります。
例えば、顧客からパラメータをヒアリングし、その回答をもとに作業手順書を作成する場合、作業日程を後ろ倒しにできるのであれば問題ありませんが、それができない場合、手順書作成に使える時間が短くなり、品質や効率に影響を与える可能性があります。
期限延長時に考慮しないといけないポイント

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

期限延長の相談を受けた際の回答のポイントは、以下の3つです。

①結論から回答する
②延長に伴う条件を明示する
③デッドライン(期限)を明確に伝える

特に、制約がない場合はシンプルに「⚫︎/⚫︎までにご対応いただければ問題ありませんが、こちらの期限でいかがでしょうか?」と伝えましょう。

一方で、期限延長に条件がある場合は、前提としてその条件を明確に補足します。

例えば「ヒアリングシートの設定値に不備がないことを前提とした回答となりますが、」のように具体的に伝えるとよいでしょう。

もし、期限の延長が難しい場合は、すぐにその場で納得感のある理由を説明するか、「確認します」と伝えて持ち帰るようにしましょう。

条件付きで期限の延長が可能な場合
条件付き(書類の不備がない前提や後続タスクを後ろ倒し可能な場合など)で延長が可能な場合は、結論(条件付きで延長可能という判断)⇨デッドラインの順に回答しましょう。
結論(条件付きで延長可能)
回答例:⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎(条件)という前提になりますが、その場合は⚫︎/⚫︎まで延長可能です。
デッドライン
回答例:しかし後続タスクの⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎が遅延した場合の影響が大きいので、⚫︎/⚫︎までに対応頂く必要があります。
条件付きで期限の延長が可能な場合の回答

質問❼「設定値を●●としているのは何か理由はありますか?」とその回答

定例会で具体的な設定値をもとにサーバーやネットワークの設定変更に関する説明をすると、「設定値を⚫︎⚫︎としているのは何か理由がありますか?」たらよく聞かれます。

私はネットワークの案件を対応している際、以下のような形で理由を聞かれました。

エンジニア
エンジニア

説明:
新データセンタに導入するルータAのConfigの設定値についてご説明いたします。設定値は・・・・・です。ご説明は以上となります。

顧客
顧客

質問:
ルータに設定しているセカンダリDNSサーバのIPアドレスが⚫︎⚫︎になっていますが、このDNSサーバとしているのは何か理由はありますか?

エンジニア
エンジニア

回答:
現在指定しているDNSサーバにすることで名前解決の処理が早くなると考えこのDNSサーバを指定しております。このDNSサーバはルータAと同じデータセンタにあり、ネットワークセグメントが統一のため、ネットワーク的に近く、結果処理効率が上がると考えるこちらのDNSサーバを指定しております。

設定値が想定と違ったときの顧客の気持ち

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

この質問に答える時は、目的→背景→理由をの順に簡潔に答えましょう。

この質問に答えるには、日頃から設定値を決める際に目的、理由を明確に意識することです。

「これまでこうしていたから」という理由だけで設定値を決めてしまうと、なぜその値にしたのか説明できず、回答に困ることになります。

そのため、普段から「なぜこの設定値なのか」「この設定値の目的は何か」を考えながら設定を行うように心がけましょう。

設定値の理由を聞かれた時の回答方法
「目的」→「背景」→「理由」の順に回答しよう
目的
「最終的にどうなりたいのか」「何を達成したいのか」。
目的は「未来の理想像」を描いたもの。
例:通信効率を上げるため
背景
過去の出来事や前提条件、現在の状況に影響を与えている要因。
例:DNSサーバがルータAとネットワーク的に近い
理由
行動や判断の根拠や説明。理由は「行動や意思決定を裏付ける根拠」に焦点を当てる。
例:そのDNSサーバをプライマリにすることで名前解決の処理が早くなると考えた
設定値の理由を聞かれた時の回答方法

質問❽「●●(スコープ外のことなど他チームに確認すべきこと)について教えてください。」とその回答

他のチームと共同でプロジェクトを進めていると対応範囲外のことについて確認されたりします。

私はサーバの構築担当だった時、別チームのネットワークチームが対応していることに以下のような形で聞かれたことがありました。

顧客
顧客

質問:
サーバーに割り当てられているIPアドレスが我々の想定と異なりますが、なぜこのIPアドレスを設定されているのでしょうか。

エンジニア
エンジニア

質問の確認:
ご質問の内容は現在サーバーAに設定されているIPアドレスがなぜこのIPアドレスが割り当てれらているかというご質問でよろしいでしょうか。

顧客
顧客

質問:
そうです。

エンジニア
エンジニア

回答:
大変申し訳ないのですが、IPアドレスの払い出しに関してはサーバーチームの担当範囲外でしてお答えできかねます。ネットワークチームが担当かと思いますのでそちらにご確認いただけますと幸いです。

顧客からのベンダーの見え方
複数事業者を抱えている顧客からすると事業者は全部同じに見える
見分けが付けずらい
顧客からのベンダーの見え方

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

担当外の質問や即答が難しい質問を受けた場合、まず質問を聞き返して時間を稼ぎましょう。
この間にどのように回答するかを考えることができます。
質問を聞き返す際は、相手の言葉をそのまま繰り返す形で問題ありません。

もし担当範囲外の内容であれば、他のチームに確認するようお願いし、その場での回答が難しい場合は「内部で確認させてください」と言って持ち帰るのが良いでしょう。

即答が難しい質問や、自分の担当かどうかが曖昧な場合も、質問を聞き返してから回答を考える時間を作りましょう。

担当範囲外のことを聞かれた場合の対処法
担当範囲外のことを聞かれ、回答が即答できない場合は
オウム返し(質問内容を聞き返す)して時間を稼ぎましょう
担当範囲外のことを聞かれた場合の対処法

質問❾「このタスクと依存関係にあるタスクはありますか?」とその回答

定例会ではWBSを使用して進捗を報告することが多いと思いますが、その際、進捗が遅延している作業と依存関係にあるタスクの有無をよく聞かれます。

私はサーバーの構築を実施していたとき、WBSの進捗報告の際下記のような形で依存関係のタスクを確認されました。

顧客
顧客

質問:
ネットワークチームによる構築作業の遅延により、WBSのタスクAが遅延する可能性がありますが、タスクAと依存関係にあるタスクはありますか?

エンジニア
エンジニア

回答:
タスクAはタスクB,Cと依存関係がございます。タスクBを始めるためには、まずタスクAが完了する必要があり、タスクCを始めるにはタスクBが完了している必要があります。
そのため、タスクAが遅れるとタスクBとタスクCも順番に遅れてしまいます。
タスクCの遅延はクリティカルパスとなっているため、サーバの利用開始日に影響します。

タスクで遅延による影響
タスクBが遅延すると、依存関係にある
タスクD、G、E、Hに影響
タスク遅延による影響

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

この質問に答える際のポイントは2つあります。

1つ目は、まず質問への回答である依存関係にあるタスクを明確に答えることです。
もしその場で確信が持てない場合、誤った情報を伝えると大きな影響が出るため、即答が難しければ「内部で確認し別途回答します」と言って持ち帰りましょう。

2つ目は、タスクの遅延が最終的にどのような影響を与えるかも含めて答えることです。
顧客が遅延している作業に依存しているタスクについて質問する理由は、最終的な影響を知りたいからです。
そのため、依存しているタスクだけでなく、遅れがどの部分に影響を及ぼすかを具体的に伝えましょう。

今回の例で言えば、「サーバーの利用開始日に影響が出る可能性があります」といった回答となります。

遅延中のタスクと依存関係があるタスクについて聞かれた場合
遅延しているタスクと依存関係にあるタスクを回答し、
遅延による最終的な影響を答えましょう。
顧客が知りたいのはこの最終的な影響です。
依存関係にあるタスク
まずは聞かれている依存関係にあるタスクを回答しましょう。
最終的な影響
タスクの遅延により、最終的にどのような影響があるか回答しましょう。
遅延タスクと依存関係にあるタスクを聞かれた時の回答方法

質問❿「優先順位が一番高いものは何ですか?」とその回答

顧客に複数の依頼をしている場合、どの依頼が最も優先度が高いのか確認されることがよくあります。特に、同じ期限で複数の依頼を出しているときや、顧客が忙しくて全てに対応できず、複数のタスクのうち1つしか進められない状況のときに、このような質問がされることが多いです。

私はヒアリングを4つほど同時に依頼していた時に優先順位について確認されました。
以下は実際に確認された時の事例です。

顧客
顧客

質問:
現在ヒアリングシートを4種類ほど頂いていますが、どのヒアリングが一番優先度が高いでしょうか。複数の依頼を同じ期限で頂いているため、どれから手を付ければよいのか分かりません。順番に対応する必要があるなどありましたら教えてください。

エンジニア
エンジニア

回答:
ヒアリングシートBから着手頂けますと幸いです。
ヒアリングシートBの回答内容をもとに他チームへ対応依頼を出しますので、まずはヒアリングシートBからご回答いただけますと幸いです。
回答の順番につきましては特に指定はございません。

顧客はタスクの優先順位を判断しにくい
顧客が複数のタスクを受け持つことになる場合、
顧客からするとどのタスクからやればいいのか判断がつけにくい。
顧客はタスクの優先順位を判断しにくい

この質問に分かりやすく的確に回答するポイント

この質問には、まずシンプルに結論から答え、その後に理由を説明しましょう。
優先順位について即答できないと、顧客側からすると依頼しているのだからそのくらい知っておいてほしいと思うため、優先順位は定例会の前に整理しておきましょう。

タスクの優先順位についてその場で回答できないと顧客が不安になる。
タスクの優先順位をその場で回答できないと顧客が不安になる

顧客からの質問に的確に回答できることの重要性

インフラエンジニアとして働く中で、顧客からの質問に的確に答えることは非常に重要です。

理由は、顧客からの質問に対して正確に回答できないと、信頼を失う可能性があるからです。

例えば、顧客との打ち合わせで技術的な質問を受けたとします。

なぜその設計になっているのか、なぜ特定の作業が必要なのかといった質問に、うまく説明できなければ、「この人には頼れない・信用できない・分かっていない」と思われてしまいます。
また、回答が曖昧だと、設計や作業への不信感を招き、考慮が不十分と見なされ、クレームになってしまう場合もあります。

そのため、顧客の質問に対して的確に答えることが、信頼関係を築く上で非常に大切です。

質問に的確に答えることで信頼性が生まれる。
顧客に信頼してもらえることでプロジェクトも進めやすくなる。
質問に的確に答えることで生まれる信頼性

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この記事を書いた人!

ゴリタン

インフラエンジニアとして、ネットワークとサーバーの運用・保守・構築・設計に幅広く携わり、
現在は大規模政府公共データの移行プロジェクトを担当。

CCNPやLPICレベル3、AWSセキュリティスペシャリストなどの資格を保有しています。